Q.暁明さんにお願いした物件は、昼と夜でずいぶん雰囲気が変わりますよね?
A.
(暁明)建築には、表情が二つあるんです。
自然光が入る時の昼間の表情と、照明が入った時に新たな命が吹き込まれた、夜の表情と。
(平井)アルディアのエントランスは、昼は格子からの影を床にデザインする事により京都の町屋的空間を演出をし、夜は格子の隙間から見えるほのかな光で帰宅してくる入居者を暖かく迎え入れる演出をしています。
(暁明)住まわれる入居者にとって、一番目の玄関を楽しく迎え入れられるかどうかは、セキュリティ等の物理的要素もありますが、光と影のデザインは単一的なワンルームの入居者生活に変化を与える「しかけ」とも思っています。
Q.マンションごとのコンセプトは、どのように決められますか?
A.
(暁明)その場所によって、情景は全く違いますよね。
環境によって見せ場は変わってきます。
そこでしかできないデザインがあるんです。
隣近所の目がさす街中なら、「自分だけの庭」を中に開く。
周囲の環境が素晴らしければ、外に対して開き、景色を取り入れる、と。
夜景や、天神祭の花火といった情景も含めて。
その地域によって、どんなものがいいかを常に考えながら、
ファサードの表情や間取りのプランを提案しています。
Q.ファサードについてお尋ねしたいのですが。
A.
(暁明)ワンルームタイプなので、戸室ごとの間口は決まってきますよね。
バルコニーの隔て板が間口ごとに発生する分、
外観の表情は変えづらいんです。
そうした制約の中で、どのような変化を持たせていくかですよね。
(平井)アルディアは、天神祭りなど歴史的風土と商いの町の交差する町にあり、「ネオジャパネスク」をイメージして作り上げていきました。
水平方向にアシンメトリー1・2、垂直方向に3・5・8・・とフィボナッチ数列を組み合わせて、「ジャパン」(和様式)を崩す作業からできあがったファサードです。
(暁明)Cherryは敷地前面に桜の木々が咲く公園があり、
桜のじゅうたんの中から低層階から上層階へと
「根」「樹の幹」そして「ツリーハウス」が
突出している様を表現をしています。
縦横に走る「船場建築線」を
大胆にも意匠化し、ファサードに採用。
Q.今後は、どのような展開をお考えですか?
A.
(暁明)とにかく色んなパターンで作っていきたいですね。
オーナーの好みも地域ごとの情景もバラバラなわけだから、
そこに自分なりの色を出しつつ、様々な表現を出したいですね。
場所に合わせ、機械的な表現や中世的な様式美を取り込みつつ。
その時代のニーズに対してどう応えていくか、
常にそれを考えています。